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技術継承プログラム
受託制作4団体合同オリエンテーションレポート
文化庁委託事業
令和2年度アニメーション人材育成調査研究事業「あにめのたね」が
始動いたしました
本事業では、3つの人材育成を実施し、手法・過程を含めた成果に対して、外部有識者の協力を得て評価を行うとともに、アニメーター・制作進行等の育成方法に関して検討・分析を行い、アニメーション業界並びに教育機関における効果的な人材育成方法等の情報共有、普及を行うことを目的としています。
今回は、3つの人材育成のうち、「作品制作を通じた技術継承プログラム」において、8月24日(月)に実施した、受託制作4団体合同オリエンテーションについてレポートいたします。
合同オリエンテーションとは
合同オリエンテーションは「作品制作を通じた技術継承プログラム」の受託制作4団体に向けたプロジェクト概要説明の場であり、本来なら育成対象者を含め多くの参加者に集まっていただく予定でしたが、今年は新型コロナウイルスの感染症予防対策として、入場時の検温・消毒、会場内でのマスク着用などを実施のうえ4団体からはプロデューサーや監督など主要スタッフのみ、また運営側も最小限のスタッフ人員で、さらにその他の関係者はオンライン参加という形式で開催いたしました。
文化庁参事官(芸術文化担当)付芸術文化調査官(メディア芸術担当)の椎名ゆかりさんの挨拶でオリエンテーションは開始。「アニメーターだけでなく、アニメ事業に関わる様々な人材の育成を目指して発足された新規事業であることが本事業の主旨」とお話しいただきました。
引き続き、運営事務局である一般社団法人日本動画協会 専務理事/事務局長の近藤真司から、本事業の柱である3つの人材育成が本事業の中核を担っていることを説明しました。
文化庁委託事業「令和2年度 アニメーション人材育成調査研究事業」3つの人材育成
①作品制作を通じた技術継承プログラム(※本年度の作品制作は約7~10分)
②就業者を対象とした技術向上育成プログラム
③アニメーション業界志願者を対象とした基礎教育プログラム
簡単に説明すると以下の通り。
①技術継承プログラムは各受託制作団体が文化庁委託事業としてアニメーションを制作しながら、その制作過程でのOJTを通じて技術育成・継承を図る現場型の育成プログラム。
②技術向上育成プログラムは幅広いアニメーション業界人のスキルアップに向け実施する講演、セミナー、実技演習などの講座型の育成プログラム。
③基礎教育プログラムはアニメーション業界志望者を対象に実施する教育プログラム。
教育機関と連携して行うオンラインと対面によるハイブリッド形式のワークショップ、さらにこのハイブリッド形式ワークショップへの入り口としてのオンライン形式のワークショップ型の2種類の教育プログラム。
- 作品制作を通じた技術継承プログラム
- 作品制作受託4団体の個性を追求した独創的な作品の制作を通じたOJTによる実践的人材育成
各団体の育成対象・目的・方法を明確にした作品制作プランを公募し、
第三者委員会である選定委員会において4団体を選定。その上で教育の質を保証するために、
本事業内に設置した育成委員会が各団体の育成を監督します。
作品企画は 7〜10 分の短尺作品を基本とし、
国際市場に通用する高いクオリティを持った作品制作を目指していただきます。
今回選定された4団体の制作する作品や育成対象者、育成プランは文末の表をご覧ください。
育成委員の紹介
続いて、事業の運営を担う育成委員の紹介が行われました。育成委員会はプロジェクト事業全般を統括する育成委員長と、委員長を補佐する副委員長の2名、OJT(On The JobTraining)・講座・ワークショップの3つの人材育成の内容の評価、検証を行なう育成プログラム担当の3名、そして受託制作4団体の進捗状況の確認や相談窓口となる4名のアドバイザー担当で構成されています。
育成委員会
- 委員長
- 河口 佳高(株式会社サンライズ IP事業本部 ライツ営業部 部長)
- 副委員長
- 小野打 恵(株式会社ヒューマンメディア 代表取締役社長)
- 副委員長
- 瀬谷 新二(株式会社手塚プロダクション 制作局 作画部 作画監督)
- 育成プログラム担当
- 布山タルト(東京藝術大学 大学院 映像研究科 アニメーション専攻 教授)
- 育成プログラム担当
- 三上 浩司(東京工科大学 メディア学部 教授)
- 育成プログラム担当
- 小野打 恵(株式会社ヒューマンメディア 代表取締役社長)※兼任
- アドバイザー担当【ウサギ王(株)担当】
- 栗飯原 君江(株式会社白組 テクニカルディレクター)
- アドバイザー担当【(有)オレンジ担当】
- 今西 隆志(アニメーション監督)
- アドバイザー担当【(株)つむぎ秋田アニメLab担当】
- 栃平 吉和(元株式会社タツノコプロダクション取締役 アニメーションプロデューサー)
- アドバイザー担当【(株)IMAGICA Lab.担当】
- 森田 実(アニメーター)
育成委員長&副委員長から受託制作4団体へメッセージ
オリエンテーションの終盤には、受託制作4団体から質疑応答の時間がありました。
本事業は、アニメ制作に携わる様々な人材の育成を目指しており、技術継承プログラムで人材育成を行う各団体からは事前に育成プランを提出いただき、以降はその方針に従ったアニメーション制作が求められます。
受託制作4団体からは就業時間や勤務内容などに関して積極的な質問が寄せられました。
最後に委員長・副委員長から受託制作4団体に対し、メッセージが送られました。
- 河口委員長
- 作品を作るだけが本事業の目的ではありません。完成した作品だけでなく育成プランを含めて育成方法を発表してもらうのが本事業の目的です。どうかそこはしっかりとご理解ください
- 小野打副委員長
- 作品を作ることと人を育てることは密接に関わっていると思います。これからの日本のアニメーションに対する新しい試みをいろいろとしていただき、この調査研究事業を通じて得たものを業界の中で共有していただきたいと思います
- 瀬谷副委員長
- 人材育成、制作の調査、研究が目的の事業です。計画表のスケジュールを順守しつつ、人材育成、調査、研究がしっかりできるように各社の努力を期待します
委員長、副委員長からのメッセージをもって、オリエンテーションは終了しましたが、終了後も、各団体関係者と育成委員会との活発な意見交換の様子が見られ、アニメーション業界の人材育成に対する熱意が伝わる合同オリエンテーションとなりました。
本事業は始まったばかりですが、みなさんの応援をよろしくお願いいたします。
令和2年度 文化庁委託事業 アニメーション人材育成調査研究事業技術継承プログラム 受託制作4団体
※制作団体名五十音順、敬称略
※全作品仮題により、題名変更になる場合有り
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- 制作団体
- 株式会社IMAGICA Lab.
- 作品
- こちら西東京市デリバー警察/ Deliver・Police(仮)
- 監督
- 佐野 隆史
- プロデューサー
- 原田 健一/岩澤 朋也/神田 毅
- 育成対象
- 原画/動画
- 育成プラン
- ・コンテの意図を正確に把握し、自分なりに演技や表現を足せるようになる
・自分以外の作業工程の観点を持つ
・演出指示、作画監督修正指示等の意味を理解しながら作業をする
・デジタル動画との連携を通じて、デジタルの知識を習得する
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- 制作団体
- ウサギ王 株式会社
- 作品
- ハチミツスーサイドマシーン(仮)
- 監督
- うもとゆーじ
- プロデューサー
- 須田 沙織
- 育成対象
- アニメーター
- 育成プラン
- 70s80sに活躍し3Dやデジタルも理解した指導監督を基礎とし、日本でもトップランクの3DCGディレクターを迎え、フリーツールのBlenderをメインにこれからのアニメ制作に挑戦していきます。
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- 制作団体
- 有限会社オレンジ
- 作品
- Want To Go Home! せめて地球の重力下で(仮)
- 監督
- 織笠 晃彦
- プロデューサー
- 和氣 澄賢
- 育成対象
- 監督/脚本/美術監督/CGアニメーター/モデラー ほか
- 育成プラン
- CGアニメーションに見識のあるスタッフで構成し、各ポジションの連携を見直し、作品への向き合い方の再認識、企画構成力の強化、モデリングやアニメーションへの知識と技術の継承等を目的として指導を行います。
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- 制作団体
- 株式会社つむぎ秋田アニメLab
- 作品
- 龍撃の狂骨(仮)
- 監督
- 櫻井 司
- プロデューサー
- 櫻井 司/桑原智也(アシスタントプロデューサー)
- 育成対象
- 作画監督/原画/動仕(動画+仕上げ)/動画検査/色指定検査
- 育成プラン
- 育成指導側の主要スタッフと指導を受けるスタッフは全て自社の正社員・契約社員とする。デジタル作画工程に関しては、映像コンテンツを納品するビジネス上で有意義な技術の継承については育成対象として考えこれを継承する。